【就活】博士学生の就職活動の進め方〜企業の内定を取るTIPS〜

就職活動

申請書執筆が重なり、今週もなかなか研究を進められそうになく辟易としてるますけです。前回の記事では博士課程の学生さんが就職活動を進めるにあたって、まずはアカデミアに残るべきか就職するべきか決める上で、自身の体験談を元にお話しさせていただきました。

今回の記事では企業に就職する上で、博士ならではの就職活動のアプローチをご紹介させていただきます。

博士の就活に王道はまだない

博士課程の学生さんの場合、学部生や修士課程の学生さんと比べて、就職活動できる時期がとてもセンシティブです。学部生や修士課程はある程度、卒業・修了見込みがたっており、卒業・終了はできることが前提で就活に臨みます。大学によるかもですが、真面目にやっていれば普通に卒業・修了できると思います。一方で博士課程の学生さんは、博士取得要件(投稿論文の規定数等)が決まっており、卒業見込みがいつ出るかは人それぞれです。さらに学会発表や論文執筆、研究室運営補助に加え、博士論文の完成や審査に向けた発表資料の作成など、博士最終年度はただでさえ忙しいです。さらに同時に修了後の進路も考えなければいけないので、私自身大変ストレスフルな1年でした。

特に博士課程の就活に関して、そもそも情報が圧倒的少なく、誰に相談していいかもわからず手探りで進めなければいけませんでした。色々と試行錯誤しながら情報収集をしつつ就活を進め、結果的に大手メーカーの内定をもらうことができましたが、もう少し効率良く進められたら精神的に楽だったなと思いますので、これから就活を控える学生さん達のお役に少しでも立てるよう、備忘録として経験談を残したいと思います。今回は企業の就職に絞り、どのようなプロセスで進めるべきかご紹介しようと思います。

新卒採用?中途採用?

企業によって、博士の学生さん達を新卒採用扱いにするか中途採用扱いにするかは違うと思います。大手メーカーの研究職の例だと、ソニーは中途採用扱い、日立製作所は新卒採用になります。それぞれ人によってメリット・デメリットがあり、一概にどっちが良いかはわかりません。

新卒採用の場合

・博士卒の同期がいる(もちろん学部卒、修士卒の同期も)
・博士課程でやってきたこととは違うことができるかもしれない
・初任給は決められている

中途採用の場合

・博士課程で培ったスキルを即戦力として活かせる
・初任給の交渉ができる
・同期はいない

実際に私も両方のケースで選考を進め、内定をもらいましたが、とても悩みました(結局アカデミアに残るという選択を取りましたが、、、笑)
ただ今思うと中途採用で入ったとしても、会社の都合で専門分野とは関係ない部署に飛ばされる可能性があるので、それであれば、初任給の交渉ができる中途の方が良いのかとも思います。
新卒採用の企業は往々にして修士卒+3年分の給与しかもらえないことが多く、博士卒のインセンティブはあまりありません。複数の中途採用の企業の選考を進め、「向こうの企業は〇〇円提示してるけど御社はどうっすか?」みたいな海外スタイルの給与交渉ができるのは博士卒の特権かもしれません笑

新卒・中途採用の選考プロセスの違い

選考プロセスの違いはほとんどありません。
新卒採用の場合は、SPIなどのWebテストが必要なケースがあります。ただ博士課程の場合は、よほどひどい結果を出さない限りは落ちることはないと思います。私もWebテストが厳しいことで有名な某医療機器メーカーを受け、Webテスト最後まで解き終わりませんでしたが、通過しました。なので単純にめんどくさいです笑

基本的には書類選考(ES)技術面接人事面接の3ステップです。
書類選考は、これまでやってきた研究の概要、志望動機、将来の目標という修士卒とあまり変わらない一般的な内容です。業績欄が用意されている場合とそうでない場合があります。もしない場合には、本文内で特筆すべき業績に関してはハイライトしましょう。技術面接に関しては、基本的には研究発表です。発表形式に関しては、普通にプロジェクターに写して発表する場合もあれば、A4の紙1枚に研究概要を印刷して、それを元に説明する場合もありました。一通り研究発表をさせられ、内容に関する質疑応答が続き、入ってからどういうことしたいか聞かれます。
技術面接の目的ははっきりしていて、持っている専門性とやりたいことのマッチングです。質疑応答も割とテクニカルなことを聞かれますが、普段の学会発表と同じ感覚で臨めば問題ないです。面接する人は応募した部署の課長レベルだと思います。
人事面接に関しても、とりあえず研究発表をさせられます。ただ質疑応答は割と抽象的な質問が多いと思います。地頭の良さであったり、どこまで深く物事を考えているかなど、その人の本質を見ようとしてきます。圧迫面接に感じることもあるかもしれませんが、博士審査の練習だと思って耐え忍んでください笑

実際に受けた質問例

・海外の某有名企業と比べてうちが足りないところは何だと思いますか?
・新規事業を立ち上げたいと思っているがどういうテーマが良いと思うか?
・あなたの現在専門としている内容が数年後会社として不要になった時にどうしますか?
・サービスロボットの未来はあると思いますか?

など、正直これが正解!という質問ではありません。ただ受ける企業に対してしっかり調べておいた方が良いかと思います。

審査対策のTIPS

書類審査の対策としては、ほとんど学振の申請書と同じですが、他の人に添削してもらうことが重要です。研究室内の先輩や助教の方でも良いと思います。リクルーターとしてついている企業の担当者がいるのであればその人にお願いしましょう、1番確実です。そして企業に入ってからどういうことをしたいか・できそうかを一生懸命考えてください。これは面接でも確実に聞かれます。長期的な目標と短期的な目標があるとベターです。

ただ一方で、現実味のあることを喋るには企業のホームページの情報だけだと限界があります。なるべく生の情報を集めましょう。OB訪問ができるのであれば絶対にしましょう。あらゆるコネと人脈を使って内部の情報を掴みに行きましょう。
その際に、もう審査は始まっていると思ってください。入りたい部署の人に話を聞くということは、将来一緒に働くかもしれない人という見方をされます。最低限のマナーは守り、いかに一緒に働きたいと思わせるかが重要です。そう思わせることができれば、審査において有益な情報を回してくれるはずです。

また個人的におすすめなのは、その会社の特許を調べることです。特に研究所の研究内容は一般公開されていることは少ないものの、特許は絶対にとってます。特許情報プラットフォームに企業名+近しい専門用語を入れてみましょう。
最近は出願してから1年経てば公開特許になるので、漁って行けば自分の専門が活かせるかどうかわかるかと思います。最近の社内の研究動向を知っておけば、今後どういう形で貢献できるか具体的にイメージできるようになるはずです。審査員の方に、なんでそこまで知っているのかと驚かれ、確実に良い印象を与えることができました。
あとは中期経営計画を調べるのも、会社の大きな方向性がわかっていいかもしれません。Youtubeとかで調べると実際の会見の動画とか転がっていることがあります。

そしてもう一つ重要なのは、自分の意思を強く持ちすぎないことです。技術マッチング面接の際に、自分のやりたいと思っていることはできなさそうな雰囲気を醸し出されることがあります。その雰囲気は敏感に察知してください。そのまま意思を貫こうとすると落ちます(自分は一回落ちました笑)もしその企業に入ることを第一に優先するのであれば、雰囲気を察知したら「実は〇〇にも興味あります」とプランBを用意しておくと良いと思います。

また自分の技術的強みが何なのか(ハードなのかソフトなのか実験なのか理論なのか)しっかり固めておきましょう。やはり、今までガッツリ機械設計やってましたっていう人をソフトウェアエンジニアとしては雇ってください。マイナーチェンジは受け入れてくれますが、大幅な方向転換は企業もリスクを負いたくないし、それであれば他の人をとった方が良いとなります。採用はとても判断が難しいと言われてます。企業としても失敗したくないという思いが先行します。

今持ってる武器を最大限に活かして、良いご縁があることを願ってます!Good Luck!

ないもんねだりしてるほどヒマじゃねえ

あるもんで最強の闘い方探ってくんだよ 一生な

蛭魔妖一(ヒル魔) アイシールド21より

コメント

  1. […] が、「入社した先」を目掛けてボールを投げると「入社する」という目標は越えてます。前回の記事でも触れましたが、その企業の中長期経営計画や公開特許を読み漁ると何となくどうい […]

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