大好きなアントニオ猪木さんが、ご自身のYouTubeチャンネルで入院生活を赤裸々に公開しているのですが、こうも死の淵に立たされた人間が強くあることができるものなのかと、感銘を受けてるますけです。
アントニオ猪木さんの引退時の名言は本当に自分に勇気と元気を与えてくれました。特にアメリカの大学にポスドク就職は、「迷わず行けよ、行けばわかるさ」の精神で行きました。まだまだ元気でいて欲しいです。
以前の記事で海外の大学への就職のアプローチ・海外学振の書き方に関して紹介させていただきました。
英語の勉強方法に関しては下記の記事をご覧いただければと思います。
今日は海外ポスドクのお給料事情に関してお話ししようかなと思います。海外ポスドクのお給料は、教授の研究費で賄われる場合と自分で用意する場合があります。自分は両方経験しており、今日は教授の研究費で賄われた場合のお給料はどうだったのか自身の経験をもとに書こうと思います。
お給料の支出元に関して
アメリカにおいてポスドクの雇用財源は大体政府からの競争的研究資金です。日本でいうところの科研費です。大体はNational Institute of Health (NIH)、National Science Foundation (NSF)、Department of Defense (DoD)のどれかの政府系資金で賄われます。
多くはNIH系の予算ですね、一番金払いの良いファンドになります。僕もNIHの予算にお世話になっておりました。
NIHはポスドクに対して支払う給与の基準を設けております(コロナのせいか、自分がいた時よりも全体的に上がっています)。
この基準から大きく逸脱して支給することは難しいとされていますが、能力に応じて心付けをすることは問題ないです。僕も当時お世話になっていたボスから貰っていた給与は、博士取得後すぐだったので本来であればPostdoc 0であるべきでしたが、Postdoc 1で払ってくれました(本当に感謝)
日本のアカデミアだと、どんなに優秀でも、職位が変わらない限りは基本的に年齢で決められるので、成果主義のアメリカはいいなあと思いました。
もらっていたお給料の月収・内訳
ポスドク時代の給与は以下の通りです。
基本給 (Base pay):$4200
税金 (Taxes):$1153.04
・州税(State Tax): $191.29
・所得税(Federal Withholding): $639.38
・高齢者/障害者用の医療保険(Medicare): $60.07
・年金(OASDI): $256.84
・その他州税: $5.46
保険 (Medical deductions):$61.5
手取り額:$2985.51
月収は日本円だと大体46万円くらいでしょうか。手取りは$4200 – $1153.04 – $61.5 = $2985.51(≒33万円)程度でした。大体3割近くが税金と保険で持っていかれます。。。
これでも保険は大学の団体保険に入れてもらえていたので、大学がほとんどカバーしてくれていました。自分で民間の保険に同じカバー内容のものに入ろうとすると毎月$400とかかかります。。。アメリカの生活において保険は悩みの種です。
余談ですが、J-1ビザで来ているポスドクは、アメリカに来て2年間は税金が免除されるという話を聞いたことがあるかもしれませんが、これは一応税法上の取り決めとして、Tax treaty(日米租税条約)というものがあり、アメリカと日本両方への二重課税を避けるために2年間払わなくていいよというルールです。J-1ビザの研究者は名目上アメリカにトレーニング目的で来ており、終わったら日本に帰ってその経験・技術を国に還元しますという立場なので、アメリカではNon-resident(非居住者)として扱うことができます。その場合、その方の居住地は日本なので、所得税や住民税は日本に納めなければなりません。ただ上記の通り、何もしないと給与から諸々の税金は引かれているので、日本にもアメリカにも税金を納めることになってしまいます。なのでTax exemptという申請をアメリカの確定申告ですれば天引きされた税金はおおよそ戻ってきます(自分も戻ってきました)。ただアメリカの税金を免除してもらったのに日本にも税金を払ってないとなると、所得に対してどこにも納税していないということになるので脱税になる可能性があります。
上記の通り、税金で持っていかれる大体3割弱なので、日本もアメリカもそこまで変わらないですね。
日本のポスドクとの比較
アメリカのポスドクの給与、いかがでしたでしょうか。額面だけ見るとアメリカの方がリッチに見えますよね。
日本のポスドクの給与はおおよそ月30万円なので、10万円以上多くもらえることができました。
ただ、ここで日本とアメリカの物価の違いをちゃんと考慮する必要があります。
アメリカの方が高いと感じたものは家賃、レストラン、保険ですね。
家賃に関しては、一人暮らしだったからというのもあるのですが、築100年の1 bed room(1LDK)で$1000のところに住んでました。クソボロいです。壁は薄いので音漏れますし、夏はアリが湧いてきます。まあでもニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコに比べれば良心的ですね、studio(1R)で$2500とかなので。
レストランは肌感覚として大体1.5〜2倍くらいかかります。チップも払わなきゃいけないので。フラッと一人でその辺のお店で外食すると1500円はかかりました。特に日本食は高く、有名なラーメン屋さん(一風堂や一蘭)は一杯2000円くらいかかります。。
保険に関しては上述の通りで、大学がカバーしてくれるとだいぶ楽です。ただ海外学振やその他財団の支援で行くと、正規の教員扱いしてもらえず大学の福利厚生が受けられない可能性もあります。自分も最初はNIHの研究費で雇用されていたのですが、途中から海外学振に切り替えた際に、肩書きがポスドクから訪問研究員に変わり、保険のカバーが受けられなくなりました(が、結局ボスのご厚意で保険は全額研究費から支給してもらいました。こういう柔軟性があるのもいいところだなと思いました。)
一方、スーパーの肉や野菜の値段は日本よりも安く感じました。まあ1個1個が大きいのでコスパが良いということなのですが。なので自炊される方は日本よりも安く食費を抑えられるかもしれないです。
物価の違いを踏まえて、日本とアメリカのポスドクはどちらの方がお金をもらえるのかというと、まあアメリカの方が多少多くもらえていると思います。毎月の収入差15万円あり、その差が物価の違いだけでは埋まらないと思います。ただ住んでいる地域の家賃相場や外食の頻度によっては、そんなには変わらなくなるかもしれません。それは日本にいても東京に住むか地方に住むかで同じ30万の価値が変わってくるのと同じです。
自分はそこまで贅沢な暮らしはしていなかったので、毎月15-20万円くらいはコンスタントに貯金できていました。
ただ有名企業でバリバリ働いている人と比べると鼻くそみたいな給料なのは日本もアメリカも変わらずです(笑)
まとめると、アメリカのポスドクは日本のポスドクより給与面では若干良い待遇を受けられると思います。そして何よりも良い環境で研究できることの方が重要です。将来的に日本で就職するとしても、数年間、日本以外の国で働いてみるのは長い人生において有益なのではないかと思うので海外ポスドクおすすめです。
※現在、海外ポスドクを経て日本でテニュアトラック研究員として働いています。そちらのお給料事情も記事にしているのでよかったらご覧ください。
大学院生・研究者の海外留学に関するHow toはこちらの本がお勧めです!
そして少しでも厳しいポスドク生活を快適にするためにも自分へのご褒美に研究設備もアップデートしていきましょう!(笑)
あとたまには読書してリフレッシュも大事です!今Kindle Unlimitedで読める研究者向けの本に関して下記の記事でまとめました。
またもし海外でのポスドク生活に関して、もっと詳しく話を聞きたい方は下記のリンクをご覧頂けますと幸いです。
コメント
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[…] 海外ポスドクの給与事情に関しては以下の記事にまとめておりますので、ご参考までに。 […]